蒼井!
えっ……?
名前を呼ばれて振りかえると、
そこには息をきらせた桧山がいた
桧山、どうしたの?
あっ、もしかして
何か忘れものしちゃってた?
ちがう……その……
お前ずっと元気なかったから……
それは……
今だって、そんな顔してんじゃねーか
……
話せよ
……何もないよ
ウソつくな
あっ……
お前が話すまで
この手、はなさねーからな
……本当にたいしたことじゃないの
そんなの、聞いてみなきゃ
わかんねーじゃん
……
……お父さんから、仕事で
帰りがおそくなるって言われたの
いっしょに年こしソバを作るって
約束してたんだけど、それもダメになって
家に帰ったらひとりだなって思ったら
やっぱり、さみしくて……
……そっか
そーいうことなら言えよ
言ってもどうしようもないし
桧山、いそがしそうだったから……
それに、言ったら心配するでしょ?
心配させたくなかったの
……
……蒼井
どんなにいそがしくても、どんな時でも
蒼井の話は、オレが1番に聞くから
ひとりでためこむな